Dropbox「Professional」の『スマートシンク』という機能が、2019年5月に「Plus」のプランでも利用可能となりました。
私がこの機能を利用しようと思った経緯を交えて、今回の導入で気づいた良い点と不便な点を紹介します。
導入のきっかけ
なぜ今まで利用しなかった?
「スマートシンク」とはどんなしくみなのか、私もなんとなくは理解していました。
要するに、「パソコン内のエクスプローラーには、これまでどおりファイル・フォルダが表示されてはいるが、実際にはそこに存在しておらずファイルを開こうとしたときにデータがダウンロード(同期)される」ということでしょう。
つまり、ふだんはファイルのインデックスのみが表示され、パソコンのデータ容量を大幅に節約できる、と。
使用する以前のこの認識は、大筋で正しかったと思います。
←実際に「スマートシンク」を利用しているファイルです。
サイズは「399KB」としっかり表示されていますが、ディスク上のサイズは「0バイト」なので実際にはパソコン内にファイルは存在していません。
「いちいちダウンロードするのでは、ファイルを開くのに時間がかかるのではないか?」
これまで利用しなかったのは、たったそれだけの理由でした。
利用しようとおもったきっかけ
Dropbox Plusで現在使用している容量は1.8TB(1800GB)。
対して、パソコン本体のSSDの容量は500GBしかないため、これまでDropboxフォルダは、外付けのハードディスクに置いていました。
ただ、不都合だったのは、ハードディスクはスリープからの復帰に数秒かかる上に、そもそもUSB2.0でパソコン本体と接続しているため、ローカルにもかかわらず速度が非常に遅い。
そこでふと浮かんだ疑問。
「ローカル(外付けHDD)とスマートシンク(本体SSD)では、いったいどちらが速いのだろう??」
速度は快適
結論からいうと、スマートシンクでも「ファイルを開く速度」については何の問題もなく。
通信環境やパソコンのスペックにもよると思いますが、数メガバイトのファイルであれば、ローカルとほぼ同等の速さで、ファイルを開くことができます。(通信速度は1Gbps)
もちろん、ファイルサイズが大きくなれば、それだけ時間もかかります。
しかし、一度開いたファイルは、ローカルとしてパソコン本体のSSDに保存されますから、2回目以降に開く際は非常に速いです。
もし、データ容量がパソコンを圧迫するような状態になった場合、そのファイルはまた「スマートシンク(オンラインのみ)」に、容易にもどすことができます。(フォルダ単位でも可能。)
そうすれば、パソコン本体内からそのデータが削除され、ふたたび「オンラインのみ」となります。
ちなみに、「ハードドライブの容量を自動で節約」を「オン」の状態にしておけば、数ヶ月使用しなかったファイルは、自動的に「オンラインのみ」になります。
利用開始時の失敗
そもそも、スマートシンクを利用しようと思ったのは、Dropboxフォルダの場所を、外付けHDDから本体SSDに移すためでした。
そこでまず、ローカル(そのときはHDD)の全データにスマートシンクを適用してみましたが、すべてのデータが「オンラインのみ」に切り替わるのに、なんと17時間を要してしまいました。
上限の2TBのうち1.8TBを使用しているわけですから、まぁ予想はしていましたが。
私の古いパソコン(3世代 i5)は、そのあいだはまともに動作せず、仕事で使えない状態になってしまいました。(↓↓こんなとんでもない状態に…。)
今思えば、下のような感じで移行させたほうがよかったかもしれません。
- 「選択型同期」で、すべてのフォルダの同期を解除する(ローカルをすべて空っぽにする)
- Dropboxフォルダの場所を、HDDからSSDに移動する
- 「ハードドライブの容量を自動で節約」を「オン」にする
- 「選択型同期」で、同期させたいフォルダを選択する(自動的にスマートシンクが適用される)
(もっと効率のよい方法はあるかもしれませんが…)
現時点で気づいたこと
ファイルを削除する際は注意が必要
「オンラインのみ」になったファイル(のインデックス)を削除しようとすると、以下のようなダイアログが必ず表示されます。
「ローカル」であれば、削除したファイルはそのまま「ゴミ箱」に直行してくれますから、この確認メッセージはけっこう煩わしいです。
(※ちなみにゴミ箱の設定は、こんな感じで確認のメッセージを表示させないようにしています。)
ここで注意しなければならないのは、「オンラインのみ」の場合、ファイルはあくまで「インデックス」ですから、削除したあとにゴミ箱をいくら探しても見つかりません。(完全削除になります。)
おそらく、Dropboxの「イベント」から「復元」するしかないでしょう。
ただし、一度ダウンロードしたもの(*ローカルの状態になっているもの)であれば、ゴミ箱行きになります。
ネットワーク共有はできない
私の場合は、複数人数で共用しているパソコンがあり、個人のDropboxアカウントでログインができないため、そのパソコンとはホームネットワークでデータの共有をしています。
その場合、「オンラインのみ」のファイルは別のパソコンには表示されません。
「Plus」以上のプランを利用しているかたは、別のパソコンにも同一のDropboxアカウントを登録しているでしょうから、おそらくこれは私だけの問題かもしれません。
サムネイルが表示される
デスクトップやエクスプローラー上に、ローカルのファイルと同じように、ファイルのサムネイルが表示されます。
JPGやPNGのような画像ファイルはもちろん、PDFやWord・Excelファイルなどもです。
「オンラインのみ」のファイルは、一度開くとローカルになってしまうわけですから、ファイルを開く直前に確認できるのはありがたいです。
まとめ
まだ「スマートシンク」を使い始めて数日ですが、もともと「ローカル」派だった私が、もうすでにその利便性のよさに完全にハマってしまいました。
「Plusプラン」は「スマートシンク」が適用される以前から使ってますから、逆に、なぜもっと早く使わなかったのか!と、後悔しているくらいです。
もうこの機能は手放せないでしょうし、他社に乗り換えたり、有料プランを解約することもないでしょう。
「スマートシンク」は、少し前の私のように”食わず嫌い”になっているかたには、ぜひおススメしたい便利な機能だと思いました。