発売から2年以上経った機種を今さらという気もしますが、今回はTP-LinkのWi-Fiルーター『Archer AX73』のご紹介と使用レビューです。
訳あって、同じTP-Linkの「Archer C3150」からの買い替えです。
過去に国内大手メーカーB社、N社のルーター(1万円台のミドルレンジ機)を設置していましたが、いずれも2階の離れた部屋(教室)に電波が届かず、なお且つ不安定なのが悩みの種でした。このC3150はそれらよりも価格帯がやや高め(約2万円)であるとはいえ、これに変えたところすべての悩みが解消されました。管理画面による設定変更も容易で、建物全体に安定した速度の電波を 約5年半のあいだ供給してくれました。理由はほかにもいくつかありますが、メーカーに対する信頼性という意味で、ワタシは今後もTP-Link一択です。
買い替えの理由は?
機器としての調子はまだまだ絶好調のC3150でしたから、正直かなり悩みました。
買い替えに踏み切ったいちばんの理由は、複数端末を接続した際に、データ転送が詰まってしまうということ。
ちなみに契約中の通信はギガビットで、時間帯にもよりますが単体なら1Gbpsに近い速度もちゃんと出てるので、イーサネットのほうに原因があるとは考えづらい。
C3150もいちおうMU-MIMO(マルチユーザーMIMO)の通信技術を採用しており、”最大48台の同時接続が可能”というのがメーカー公称でしたが、実際には離れた部屋でスマホでの動画再生をおこなうと 2~3台でもアウトでした。
どれかの再生が必ず固まってしまいます
なかなかスゴイね、OFDMA技術
今回購入したAX73はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)のモデルなので、MU-MIMOのほかに「OFDMA」という技術が使われています。
簡単にいえば、1通信で複数端末が同時に安定して通信ができるしくみです。
試しにこれまでと同じ場所で、とりあえず5台のスマホの動画再生を同時におこなってみましたが、5台とも再生が途切れることがありませんでした。
技術の進歩だね
速度重視なら「AX80」のほうを選ぶべし
自宅で使用するものであれば、最新のAX80をおそらく選んでたと思う。(※AX73とAX80の現在の市場価格はほぼ同じですし。)
Archer AX73 | Archer AX80 | |
---|---|---|
通信速度 | 5GHz:4804Mbps 2.4GHz:574Mbps | 5GHz:4804Mbps 2.4GHz:1148Mbps |
距離や遮蔽物に強い2.4GHzで1148Mbpsの速度を出せるのは 正直かなり魅力です。
ではなぜAX80ではなくAX73のほうを選んだのか?
かなり悩みましたが 決め手になったのは、AX80は内蔵アンテナ、AX73は固定アンテナ(外付けアンテナ)というところですね。
もちろん2年のあいだの技術の進歩を考えれば、もしかすると内蔵アンテナでも固定アンテナの電波強度を凌駕している可能性だってある。
(AX73は2年以上前のモデルで、AX80はまだ発売されたばかり。)
ただ、ルーターは建物の端のほうに設置するしかないので、電波を飛ばす方向をある程度指定できる固定アンテナのほうがいくぶん有利なはずです。
(建物の中央付近にルーターを設置できるなら話は別ですが。)
重ねて、従来のC3150の固定アンテナが非常に優秀だったのも、理由のひとつとしてはあったわけです。
ここで唐突にレビュー
それではさっそく、まずは電源。
”まずは本体”じゃね?
左が今回購入したAX73の電源で、C3150の電源(左)と比べるとかなり小さくて軽い。
さて拡大してみましょう。
電力 弱くなってるぞ
何が言いたいのかといえば、まず電源がとても軽かったので「こんなんで電波の強度は大丈夫か?!」…なんて思ったわけ。
そんなワタシの心配をよそに、2階教室の座席一列目が限界であった電波は、座席の最後列まで届くようになりました。(これまでwifi中継器を挟んで対処してましたが、これで中継器は撤去できました。)
そしてここでようやく本体のご登場。
見た目のデザインは これがメーカーさんのセンスだからまぁ仕方ない。
気に入ってはないの…ね…
アンテナの向きが自由に決められるのはやはりイイですね。
壁掛けにすると 上の4本のアンテナは水平が限界だから、サイドの2本が下向きにできるのは、2階へ電波を供給するには好都合。
C3150より電波が飛ぶようになったのも、もしかしたらこれが関係しているかもしれません。
あと、これ知らない人多いかもしれませんが、アンテナは電波を飛ばしたい方向に対して立てるのが正解です。
Q13. 本ルーターの外部アンテナについて
外部アンテナは、垂直に立てると「水平」に、水平に寝かすと「垂直」に電波が広がります。設置環境に合わせアンテナを調節してください。
Archer AX73 かんたん設定ガイド FAQより
アンテナのサイド方向に電波が出ていくイメージですね
LANや電源の端子およびボタン類は上のほう。
仕様表を見ると、有線はWAN/LANともに「ギガビット」って書いてある。
…ってことは、Wi-Fiが最大で4804Mbpsなのに、有線は1000Mbpsってこと??
ここはチョット意味が分かりません…
契約サーバーが最大1Gbpsなので まぁ問題はないんですが
C3150は3.0と2.0の2基でしたが、AX73は側面にUSB3.0ポートが1基。
C3150から引き続き、簡易NASに対応ってことです。
あとはCat-5eのLANケーブルが1本付属。
前述のとおり、有線LANポートは1Gbpsですから、ちょうど必要最低限の規格ってところです。
AX70のすごいトコロは?
最後に、OFDMA技術以外にもAX73を推せるポイントがあるので、それについて。
それ最初に紹介せんとあかんヤツ…
”OneMesh”がスゴイ
電波をより遠くまで飛ばすには、他のメーカーも含め 一般的に中継器を使います。
「OneMesh」というのはTP-Linkの独自の名称で、(たぶん)メッシュWiFiのこと。
電波の強さによって、本体と中継器いずれの電波を拾うか、自動で切り替えてくれる、わりとスゴい機能です。
TP-Linkは中継器のラインナップも豊富ですが、やはり本体の性能を十分に発揮させるには、11axに対応したこんなの(↓)がよいでしょう。
Amazonで物色したところ 11ax対応の中継器はまだ少ないですね
ちなみにこのTP-Linkの中継器(11axモデル)のレビューは、思いのほか辛めの評価が多くて、「思ったほど飛ばない」の声が散見しました。(…というか多かった)
ワタシがこれまで使っていたTP-Linkの中継器(300Mbps)がかなり効果的に働いてくれてたので、11ax対応の中継器を今回新たに購入しようと初めは思ってたのですが、レビュー情報から、購入はいったん見送ることにしました。(>>入手したらまた記事にします。)
”ビームフォーミング”がスゴイ
かんたんに言うと、接続している端末や中継器を検知し、その方向に強い電波を出してくれる技術です。
より遠くまで狙って電波を飛ばすだけでなく、壁などの遮蔽物がある環境にも安定した電波を供給してくれます。
この技術のおかげで電波干渉も軽減できるらしいよ
数TBの動画データを転送しているときや、ちがう階でストリーミング再生をおこなっているとき、ルーター近くにある2.4GHzのWiFi機器(無線マウスなど)の動作がカクついたり遅延したりする現象がこれまで頻発してましたが、それがまったく起こらなくなりました。コレたぶん気のせいではありません。
”設定ページ”(管理画面)がスゴイ
TP-Linkのルーターはすべての設定を、ブラウザ上の設定ページでおこないます。
C3150のものと見た目が変わってたので初めとまどいましたが、分かりやすく配置されているので慣れるのも まぁ時間の問題でしょう。
国内大手メーカーの設定ページより分かりやすいです(主観です)
個人的には「ゲストネットワーク」の設定とON/OFFの切り替えが簡単なのがいちばん重宝しています。
最大80台接続がスゴイ
これに関しては”スゴイ!”…なんて正直思ってません。
C3150は公称が”48台”でしたが、それがホントだったら買い替えてませんからね。
今回購入したAX73は検証で5台までは安定して受信が確認できたものの、80台はさすがに盛りすぎだと思う。
とりあえず接続だけならできる台数だと捉えるのが妥当でしょう。
それってあなたの感想ですよね?
まとめ
AX73とAX80の電波強度に差があるのか?
…まぁそれを確かめられないのが心残りではありますが。
いずれどなたかが検証をしてくれるでしょう。
複数端末で途切れることなくストリーミング再生ができるようになったし。
とりあえずこの機種(AX73)を購入して不満に思う人はそうそういないでしょうね。
ではこのあたりで。
お・わ・り