今回 メンテナンスをおこなうパソコンは、HPの『ProBook 4540s』です。
※64bit版への移行のみをおこないたいかたは、下の目次から「64bit版へアップグレード」へジャンプしてください。
パソコンの状態
デジカメの写真データの保管庫として、実家の母のために10年くらい前に購入したパソコンです。
これまで年に2、3回電源を入れ、OSのアプデと ドラッグ&ドロップでデータ移動をやっていただけですから、キーボードはまったく擦れがなく、本体にもキズはほとんどありません。
中古としての状態は さしずめSランクの極上品 といったところです
実家から引き取ってきたので なんとかうまく活用したいのですが、このパソコンのスペックは すべての項目において実用性は皆無。(↓)
1つ目、Celeron 1000Mはさすがに弱すぎです。
ここは交換が必須ね
2つ目はシステムが32bit版であるということ。幸いにも「x64 ベースプロセッサ」の表記があり64bit版へアップグレードの要件は満たしています。
「x86ベースのプロセッサ」と書かれてあるものは 64bit版への移行は不可です
3つ目にRAMですが、空きスロットがあるので 64bit版への移行が完了すれば すぐにでも増設が可能です。
32bit版の上限は3GBまたは4GBですから
今回はやることてんこ盛りだな
CPUをどうするか?
調べてみると「Celeron 1000M」は インテルの第3世代CPUのようです。
手っ取り早く 同世代の”i5”か”i7”でも中古でポチればいいわけですが。
その前にちょっと試してみたいことがあるんです
実はこれ(↑)、自宅に放置してあった液晶割れのパソコン「dynabook Satellite B551」です。
この巨大文鎮のCPUを、ProBookに移植はできないのか?
ちなみに「i3」のシールが貼ってあり、購入時期を考えればCPUの世代は近そうですが、詳細は不明。
外部モニターによる確認を試みましたが
HDMI、VGAともに不調のため接続ができませんでした
もしこれが第3世代の「i3」ならそれがベスト、たとえ第2世代であったとしても 1000Mと比べれば若干の性能アップに期待はできます。
(※インテルの第2世代と第3世代はソケットに互換性があります。)
ですからB551を解体し、とりあえずCPUを救出してみる作戦。
CPUガチャってことな
CPUの救出
まず言いたいのは、古い世代のTOSHIBAノートパソコンを侮っちゃぁいけません。(最新のは知りませんが。)
TOSHIBAの別の筐体(B453)を過去に弄ったことがあるんですが、素人が分解することを想定して設計されてはいません。
ですから「救出」とは言っても、おそらく「解体」に近い作業。
今回はバラしたあとに組み直しはたぶんやりません
作業内容のここからの記載はだいぶ端折ってます。(作業の大変さをお伝えしたいだけの内容です。)
バッテリーを取り外して、ネジを外し、HDDとDVDドライブを外す。
(中央部分のメモリはすでに救出済みでした。)
次に上面のキーボードを取り外します。
まずはヒンジを全開にしておく。
キーボードの上部のパネルを、工具を差し込み ツメを外しながら バキバキ持ち上げていく。
キーボード上部の4つのネジを外し、上部中央にあるツメを押し上げてキーボードを持ち上げる。
説明はこのあたりまでで・・。
(※ここからしばらくは画像のみでお楽しみください。)
いちおう分解方法を事前にネットで調べ、確認しながら作業はやってますが。
それにしても、このネジの本数はヤバいって思いませんん?
(>>これでもCPUにたどり着くまでの必要最小限のネジ。全部は外してませんから。。)
ヒートパイプとか見えてくれば、もうあと少しだ。がんばれっ!
ようやく姿を現しましたよ、
ついにラスボス登場!
さあ、答え合わせの時間がやってまいりました。
この型番「SR04R」の正体は一体?!
答えは
Core i3 2310M
でした
ウ~ン、ナンかビミョー・・・
予想はしてたけど、まさかホントに第2世代のものを引き当てようとはねぇ。
フラグ回収 乙
まぁ1000Mより少しは性能上がるんで乗せ替えはやりますよ。
3世代を期待してたから ちょっとザンネンなだけ。
クロックはそこまで弱くもないけど、2世代i3は対応RAMがDDR3-1333までなのがちと悲しい。。
せっかく1600が刺さってんのに…
CPUの乗せ替え
では気をとり直して。
あまりテンションは上がりませんが、乗せ替えやっていきます。
レバー2つでバッテリーと蓋が外れてしまうのは ProBookのイイところ。
開けるとすべてのパーツが どこにあるのかも ひと目で分かります。
金属のフタを外すと、そこにはもうヒートシンクの姿が…。(ここまでの作業時間1分/ねじ3本)
ファン&ヒートパイプも秒で取り外し。
そして現る、Celeron 1000M。
さっき救出したi3を横に並べてみると、CPUのサイズ差が一目瞭然です。
i3を装着し、CPUグリスを塗る。
グリスは安定の性能とコスパの「KT8085」。
さいごに、64bit化に備えて メモリを1枚足しておく。
型番同じなのでデュアルチャンネルで動作してくれるはずです。
ハイ、しっかり認識しました。
4スレッドあるのは とりあえず落ち着くネ。(←1000Mのときは2スレッドだった。)
メモリは4GB×2=8GBを認識してくれてません、トーゼン、まだ32bit OSのままですからね。
シネベンチなどは 32bit版がどうしても見つからなかったのでできませんでした
i3の挙動についてはいちおう体感だけ。
交換前と比べると、誰でもフツーにちがいが分かるくらいは動作が軽くなりました、正直 期待以上!
B551からの救出は大変でしたが、まぁやってみてよかったかな。
今後の予定は?
ここから後半は、64bit版への移行作業をやるんで まだ終わりではないんですが。
無事に完了したら、クアッドコアのCore i7-3610QMあたり、中古がまだ市場に出回ってるうちに安いの探してみよう。
「Q」付きのi7は この世代では別格よね
高いけど…
その後【追記】
結局、i7ではなく 中古のi5を購入して交換しました。
現状、i7はまだまだ高値で、i5のほうがコスパは良さげでした。
64bit版へアップグレード
データのバックアップ
64bit版のWindowsのクリーンインストールなので、ソフトウェアやファイル・フォルダなどのデータを32bit版から引き継ぐことはできません。
あらかじめバックアップをとっておく必要があります。
今回のパソコンは引き継ぐデータがないので バックアップなしで進めます
あとは ライセンス認証でプロダクトキーの入力を求められる場合があるようなので、いちおう念のために調べておく。(↓)
プロダクトキーの確認方法
スタートメニューの「Windows システムツール」にある「コマンドプロンプト」を右クリックし、「その他」から「管理者として実行」をクリックします。
コマンドプロンプトが表示されたら、以下のコマンドを入力してEnterを押す。
wmic path softwarelicensingservice get OA3xOriginalProductKey
プロダクトキーが表示されるので メモっておきます。
(※この方法でプロダクトキーを確認できない場合は、WindowsがVL版である可能性があります。購入先にキーを確認するか、または諦めるしかないでしょう。)
インストールメディアの作成
インストールに使用するUSBフラッシュドライブをパソコンに刺しておきます。(※空き容量が8GB以上のもの。)
まず 以下のサイトを開きます。
「ツールを今すぐダウンロード」をクリック。
「MediaCreationTool22H2」をダブルクリックし、「Windows 10 セットアップ」を起動します。
ライセンス条項に「同意する」をクリック。
「別のPCのインストールメディアを作成する(USB フラッシュ ドライブ、DVD、または ISO ファイル)」を選択し、「次へ」をクリック。
「このPCにおすすめのオプションを使う」のチェックを外し、アーキテクチャを「64 ビット(×64)」にして「次へ」をクリック。
インストールに使用するUSBフラッシュドライブを選択して、「次へ」をクリック。
OSのダウンロードが開始されます。
ダウンロードが終わったら「完了」をクリック。
64bit版OSのインストール
(先ほどWindowsメディアを作成したUSBフラッシュドライブは パソコンにそのまま刺した状態です。)
パソコンの電源をONにしたら すぐにEscキー連打でBIOSを起動します。(連打するキーは筐体のメーカーによって異なります。)
F9「Boot Device Options」を押す。
「USB Hard Drive 1」(作成したUSB)を選択し、Enterを押す。
言語やキーボードなどを適切に選択し、「次へ」をクリック。
セットアップが開始されます。
ライセンス認証のプロダクトキー入力を要求されたら、「プロダクト キーがありません」をクリック。
※以降、プロダクトキーの入力は求められる場面はなかったので、念のための準備はどうやら不要だったようです。(入力をスルーできないケースもあるらしい。)
もとの32bit版と同じバージョンのWindowsを選択し、「次へ」をクリック。
ライセンス条項を読んで「同意します」にチェックを付けたら、「次へ」をクリック。
「カスタム:Windowsのみをインストールする」をクリックします。
(※32bit版のファイル、設定、アプリを64bit版に引き継ぐことはできません。)
OSをインストールする場所を選択し、「次へ」をクリック。
インストールが開始されます。
インストールが完了。ここまで来ればあとは通常のセットアップと同じです。
途中で設定方法を指定するよう求められるが、ここは基本的には「個人用に設定」を選択する。
(※あとからの変更が効かないので、ココだけは注意。)
64bit版へ移行できたことを確認。
RAMの8GBも使用可能になりました。(32bitは3.5GBが上限)
以上、「HP ProBook 4540s」のCPUの交換から64bit版への移行までの作業内容でした。(おわり)